BTIジャパン株式会社

社長のPRGFコラム

更新日2023.5.2

第3回 PRGFの使用例:歯周病・歯科治療編

前2回では、PRGFや増殖因子の基礎知識について話しました。
今回は、実際に皆さんの歯科治療とどんな関係があるのか、自費治療するほどのメリットがあるかについて、考えてみます。

歯はふつう、歯茎(はぐき)より上にある歯冠(しかん)と、歯茎の中にある歯根(しこん)からなっています。歯根部分が悪くなると、抜歯する可能性が高くなります。

歯根部分が悪くなるには、何か原因があります。また、周りの骨がなくなるなど、健全ではない可能性があります。
代表例は歯周病ですが、歯周病になると、歯を支える骨(顎骨/がっこつ)が溶けて歯を支えられなくなり、結果として抜歯することになります。

抜歯した後の選択肢は、入れ歯、ブリッジ インプラントがあります。いずれも、ぽっかり穴の開いた部位はきちんと健康な顎骨にしておく必要があります。
健康な状態にしておかないと、骨がやせてインプラントが入れにくくなり、ブリッジをするにしても、顎骨がやせていては良いことはありません。
歯周病の治療の中に、歯根の周りの骨を再生する方法があり、そこでPRGFは活躍します。この治療は歯周外科ともいわれますがこの話はまた別の機会に。

抜歯時にPRGF治療をしておくと、その部分の骨は、PRGFを使わない場合より、短い期間で骨量も骨密度も約2倍に高まります。

【骨量】 遠心分離後

【骨密度】 遠心分離後

本人のQOL(生活・健康の質)を高めるだけでなく、その後インプラントを入れる場合でも、手術時の本人の負担が軽くなります。何よりも、抜歯した当日~翌日の腫れや痛みが圧倒的に少ない。腫れあがった顔で仕事に行く心配はありません。
余談ですが、とくに親知らずを抜いたときは、PRGFを使う場合と使わない場合の差は歴然です。

PRGF治療は自由診療となり、費用は保険治療よりは高くはなりますが、毎日の食事をしっかり嚙んで美味しく食べて、健康寿命を長くすることを考えれば、コスパが良いと思います。

PRGFを使っている先生は、生体のメカニズムや組織再生についての知見が豊かな方が多いので、むやみにインプラントを勧めません。原因を特定し、解決してから次に進む先生がほとんどなので安心です。

ある先生が「歯周病をきちんと治さないうちにインプラントなんか入れたら、後で脱落とかトラブルのもとだから、インプラントありきとは絶対考えない」と言っていました。
悪いところは元から絶たなきゃダメということですね。

抜歯をする状況になったら、お近くにあるPRGF再生治療を行っている歯科医院に、相談してみたらいかがですか? 
▼PRGF再生治療を行っている歯科医院
https://www.bti-japan.co.jp/p_saisei/index.html

更新日2023.2.27

第2回 増殖因子

前回は「PRGFって何?」「PRPより痛みが少ないって本当?なぜ?」など、皆さんから多く寄せられる疑問にお答えしました。

今回は2回目。
PRGFの名称にも入っている「増殖因子」について、少し詳しく話してみます。

増殖因子は、細胞の増殖を促進するタンパク質の総称です。成長因子と呼ばれることもあります。

生体内には、多くの増殖因子が存在しています。

上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)など

これらの増殖因子が組織を再生する過程で、それぞれの役割を果たすのですが、どのタイミングでどのような相互作用を担っているかは、まだ完全には解明されていないようです。

さて、近年、増殖因子の製剤(薬)を生産する会社が出てきました。
歯科医療で有名なところでは、ひとつは「GEM21s ®」 。遺伝子組み換えのPDGF-BBと、骨補填材β-TCPを組み合わせたものです。歯周病由来の骨欠損の治療薬として米国で販売されています。
もうひとつは「リグロス」。rhb FGF(遺伝子組み換え線維芽細胞増殖因子)として、歯周組織の再生剤として、日本で販売されています。

それらとPRGFとの違いを、少し考えてみましょう。

簡単に言うと、製剤は一つの増殖因子を遺伝子組み換えで精製し、自己血の1000倍~2000倍の濃度を持つもの。一方のPRGFは、患者本人の血液から分離し濃縮させたものです。濃度はせいぜい3倍~4倍ですが、自己由来なので、すべての増殖因子が本人の体内と同じ割合で存在しています。

でも1000倍って凄いですね。なんだか効きそう。

そこで、「1000mg配合!」などのうたい文句でおなじみ、ビタミンCを例に話します。

ビタミンCには抗酸化作用があり、体に良いと言われています。
そのため、レモン果汁50個分のビタミンC、ビタミンC1000㎎のジュースなどが、たくさん売られています。

さて、レモン果汁50個分のビタミンCやビタミンC1000㎎のジュースを飲むと、配合量ぶんの効果があるのでしょうか。

答えはこうです。

ビタミンACE(エース)と言う言葉があります。ビタミンCを効果的に吸収し抗酸化作用を高めるには、ビタミンCだけでなく、ビタミンAとEも一定の割合で一緒に摂ることが必要です。ビタミンCを含む、果物など天然の食材なら、正しい割合のAやEのビタミンが自然に摂れるわけです。

ちなみに、体が一度にビタミンCを吸収できる量は決まっていて、必要以上の量のビタミンCは、尿となって体外へ排出されます。

そう考えると、特定の因子だけを1000倍に増やした遺伝子組み換え増殖因子の働きと、濃度は3~4倍ですが必要な因子が揃っていて各々が必要なタイミングで自分の得意な仕事をする自己由来増殖因子の集まりのPRGFは、大きく違うと思いませんか? 

実際に、知り合いの先生がリグロスを使う時、PRGFを併用すると結果がとても良くなると言っていました。

更新日2022.12.21

第1回 PRGF って何?

いまこのページをご覧の皆さまは、どこかで「PRGF」という言葉を耳にして、「PRGFって何?」と思いながら検索し、たどり着いてくださったのでしょうか。
ご訪問、ありがとうございます。

はじめまして。BTIジャパン社長の植木です。
PRGFに関わって十数年になります。この技術と関わりあっている間に感じたことをコラムにまとめてみました。なるべく簡単な表現でPRGFについて話していきたいと思います。

PRGFとは「Plasma Rich in Growth Factors」の略語。日本語では、多増殖因子血漿(たぞうしょくいんしけっしょう)と訳されています。

と言ってもなんのことやら? と思われるかもしれません。
PRGFは、自分の血液から傷や骨をつくる増殖因子を取り出して、体の損傷部分に投与することで、再生能力を強化する再生医療技術です。

血液を遠心分離機にかけると、増殖因子を多く含んだ濃縮血漿(けっしょう)が分離され、それを取り出すことができます。

遠心分離後

仕組みを少しお話しましょう。
ヒトは元々、再生する能力を持っています。
身体に傷がつくと、その傷を治そうという活動が始まります。小さな傷なら「舐めとけば治るよ」みたいなチョット乱暴な言葉、聞いたことがありますよね。それは自分で修復するからです。

そのメカニズムは、血液の流れにのって体中を循環している血小板に運ばれている増殖因子の働きによると考えられています。増殖因子が傷に集まってきて、せっせと傷を治そうと頑張るわけです。ここで、PRGF(多増殖因子血漿(けっしょう))の登場です。血流で運ばれてくる増殖因子の量に加えて、自分の血液から生成した濃度の高い、つまり増殖因子の沢山ある血漿(けっしょう)(PRGF)を加えて、自己再生能力を加速させてあげるのです。

もちろん、出血のひどい大けがなどの場合は、PRGFでは間に合わないので外科手術が必要です。PRGFは、抜歯しでできた傷口を修復したり、腱や筋肉の損傷を身体が治癒したりする過程でとても有効です。さらに詳しいメカニズムの話は、かなり長くなるのでまた別の機会に。

自分の血液を遠心分離して濃縮した血漿(けっしょう)を傷の治癒に役だたせる考え方は、以前からありました。PRP(Plate Rich Plasma:多血小板血漿)という言葉は、知る人ぞ知る再生医療の一つでした。ただ、その生成方法にはいろいろ違いがあり、増殖因子がキチンと体の中で有効になるよう、遠心分離方法から増殖因子の活性化までの手順が確立され、特許を取得しているのがPRGFです。

PRGFは、スペインBTI(Biotechnology Institute)社の創始者であり、Eduardo Anitua財団の主宰者でもある Eduardo Anitua博士によって開発された技術です。歯科の抜歯後の治療、顎骨再建、インプラント手術への応用だけでなく、腱や筋肉の修復等スポーツ医学、皮膚潰瘍、美容外科、眼科など、多くの医療領域へ広がっています。
20年以上の臨床研究と、100万症例以上の実績がありながら、一つの副作用の報告もありません。

PRP治療で言われる「痛み」や「腫れ」についても、PRGFは非常に少なく、日本における治療現場でも、術後の状態がとても良いと、先生にも患者さんにも喜ばれています。

それでは、なんでPRGFは効果があるのか。
なんで、腫れや痛みが少ないのか。
またその具体的な応用領域などについて、次回から少しずつお話してゆきたいと思います。